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過重労働について |
近年、労働者の過労死が、社会的に問題視されています。一般に長時間労働や仕事上のストレスなどが蓄積することによって、脳血管疾患・虚血性心疾患などを引き起こし、死に至るケースを「過労死」と呼んでおり、この言葉は国際的にも有名な言葉となっています。
ここ最近の経過をみても、過労死等を理由とする労災補償の請求件数、認定件数はともに増加傾向にあります。
過労死
過労死の医学的な定義は一般的には「過度な労働負担が誘因となって、高血圧や動脈硬化などの基礎疾患が悪化、脳血管疾患や虚血性心疾患、急性心不全などを発症し、永久的労働不能又は死に至った場合」という定義が多く用いられています。
労働者災害補償保険においては、業務上の疾病である「脳血管疾患及び虚血性心疾患等」のうち負傷によるものを除いたもの、とされています。
脳・心臓疾患には
(1)仕事中の負傷が原因で発症した場合と
(2)著しい長時間労働などによる業務の過重負荷が原因で発症した場合
がありますが「過労死」は後者に当たります。
労災補償=労働者災害補償保険
労働者災害補償保険は、業務上の事由又は通期による労働者の負傷、疾病、障害又は死亡に対して迅速かつ公正な保護をするため、必要な保険給付を行い、あわせて、業務上の事由又は通勤による負傷し、又は疾病にかかった労働者の社会復帰の促進、
当該労働者及びその遺族の援護、適正な労働条件の確保等を図り、もって労働者の福祉の増進に寄与することを目的としています(労災法第1条)
労災認定の考え方
1.業務上疾病に関する概念
労働基準法第75条第1項にいう「疾病」とは、同規定の趣旨から医学上療養を必要とするものを意味するものです。
したがって、医学上療養を要することが認められる疾病が生じた場合にはじめて労災保険給付の対象となります。
2.認定の基本的な考え方
労働者に生ずる疾病については、一般に多数の原因又は条件が競合しています。
過労死等の場合、長時間労働、劣悪な職場環境、仕事上のストレスなど「業務」に関連した要素が原因となって、病因や死因となった脳・心臓疾患等を引き起こしたことが認められると、業務上の災害として労災の認定がなされることになります。
過労死の原因となる疾病の大部分が、脳出血やくも膜下出血などの脳血管疾患や、心筋梗塞や狭心症などの虚血性心疾患であると考えられています。
過労死はマスコミ等でも大きく取り上げられるところであり、過労死に関して企業が労働者に対する健康管理上の安全配慮義務を怠ったとして損害賠償を求められるケースが増える傾向にあり、その損害賠償の額も高額化しています。
当然金銭的なことだけではなく、企業としては、社員の喪失、社内のモチベーションの低下、対社会的信用の失墜等の様々なダメージを被ることになるので過労死等の防止対策が必要となります。
厚生労働省によって「脳血管疾患及び虚血性心疾患等(負傷に起因するものを除く)の認定基準について」が示されました。(平成13年12月基発1063号)
| (i) |
疲労の蓄積の考え方
恒常的な長時間労働等の負荷が長期間にわたって作用した場合には、「疲労の蓄積」が生じ、これが血管病変等をその自然経過を超えて著しく増悪させ、その結果、脳・心臓疾患を発症させることがあります。
このことから、発症との関連性において、業務の過重性を評価するに当たっては、発症時における疲労の蓄積がどの程度であったかという観点から判断する必要があります。 |
| (ii) |
評価期間
発症前おおむね6か月間 |
| (iii) |
過重負荷の有無の判断
著しい疲労の蓄積をもたらす特に過重な業務に就労したと認められるか否かについては、業務量、業務内容、作業環境等を考慮し、同僚等にとっても、特に過重な身体的、精神的負荷と認められるか否かという観点から、客観的かつ総合的に判断することとされています。
その際、疲労の蓄積をもたらす最も重要な要因と考えられる労働時間に着目すると、その時間が長いほど、業務の過重性が増すところであり、具体的には、発症日を起点とした1か月単位の連続した期間をみて、
| (1) |
発症前1か月間ないし6か月間にわたって、1か月当たりおおむね45時間を超える時間外労働が認められない場合は、業務と発症との関連性が弱いが、おおむね45時間を超えて時間外労働時間が長くなるほど、業務と発症との関連性が徐々に強まると評価できる |
| (2) |
発症前1か月間におおむね100時間又は発症前2か月間ないし6か月間にわたって、1か月当たりおおむね80時間を超える時間外労働が認められる場合は、業務と発症との関連性が強いと評価できることを踏まえて判断すること |
とされています。
厚生労働省(中央労働災害防止協会)労働者の疲労蓄積度自己診断チェックリストの利用、あるいは独自でチェックリストを作成し、従業員の疲労蓄積度を判断するのも過重労働を防止する上で有効でしょう。
http://www.jisha.or.jp/web_ch/
ただし、このチェックリストの判定結果と、疲労の蓄積による現実の健康障害との関係については個人差もあることから、必要に応じて、産業医や、産業医が選任されていない小規模事業場では地域産業保険センターの登録医等、あるいは管理監督者に相談するのが望ましいでしょう。
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